浮気の念書の正しい書き方を教えてください。
浮気をした当事者が、浮気を認める念書に署名するというのは、浮気を追及した人の話として耳にしたことがあると思います。
この念書を残しておけば、浮気をした当事者が「浮気したことを認めた」証拠となるため、後に離婚の慰謝料請求や離婚裁判で、念書を浮気の証拠として裁判所に提出することも可能です。
ただし、この念書を浮気の証拠とする場合、正しい書式で作成する必要があります。
そこで念書の正しい書き方についてご説明したいと思います。
念書とは?
念書とは、起きた事実や約束を証明するものとして、その内容を書面に記したものです。
念書を作っておくことで、そこに記された内容について、第三者に対しても証明することができるので、約束が破られるリスクを下げることができるのです。
浮気の念書の場合、浮気をした事を認める内容や、二度と浮気をしない、というような内容を記しておくことが一般的です。
浮気の念書に書くべき内容とは?
浮気の念書には、基本的に下記に挙げる事項について記載します。
浮気をした配偶者に書かせる念書の場合は、浮気相手に関する情報です。
浮気相手に書かせる念書の場合は、あなたの配偶者に関する情報です。
氏名、生年月日、住所、勤務先など、その人物を特定できる情報をなるべく多く記載します。
浮気の期間、経緯、不貞行為の回数、不貞行為を行った場所など、できる限り詳細に記載します。
ここが念書において最も重要な部分です。
単に「私は〇〇と浮気しました」と書くだけでは意味がありませんので、注意しましょう。
もう二度とこの人と不貞行為をしない、接触しない、など、これからのことについての約束内容を記載します。
ただし、約束の内容は公序良俗の範囲内で定める必要があります。
この念書上で約束したことを守らなかった場合に受ける制裁の内容や条件を記載します。
例えば、違約金を支払う、離婚を受け入れる、というようなものが一般的です。
こちらも、制裁の内容は公序良俗に反しない内容にしなければなりません。
浮気をした配偶者に書かせる念書の場合は、配偶者の署名と捺印。
浮気相手に書かせる念書の場合は、浮気相手の署名と捺印。
また、作成者の住所も忘れずに記載します。
念書を作成した年月日はもちろんのこと、どこでこの念書を作成したかも記載します。
これは後の項目でもご説明しますが、念書をどのような場所(環境)で作成したかが、その念書の効力に影響を及ぼす可能性があるためです。
浮気の念書の例
〈浮気した夫に念書を書いてもらう場合の例〉
○○カフェ○店にて作成
住所
鈴木△△ (印)
私、鈴木△△は、田中××氏(住所、生年月日)と○年○月〜○年○月にかけて7回、○○ホテル(住所)や田中××氏自宅(住所)等において、肉体関係を持ちました。
最初に肉体関係を持った後に、田中××氏に私が既婚者である事を告知し、その上でその後も肉体関係を持ちました。
私の不貞行為により、貴殿に多大なる精神的苦痛を与えてしまった事を心よりお詫びし、今後一切田中××氏とは会わないことを誓います。
また、約束に反した行為や再び不貞行為をはたらいた場合、貴殿から慰謝料○○円を請求されたとしても、何ら異議を唱えることはありません。
なお、慰謝料の請求があった際には誠実に請求に応じ、速やかに一括にて支払うことを本書面にて誓います。
タイトルや書式に絶対的な決まりはありませんので、こちらはあくまでも参考になさってください。
自分の考えた念書の内容や書式に不安がある場合は、弁護士などに相談して確認してもらうことをおすすめします。
浮気の念書を作成するときに気を付けること
浮気の念書を作成するにあたって、とくに注意すべきポイントが3つあります。
浮気の念書の意味合いとしては、浮気をした側が浮気をされた側に約束の証として渡すものです。
念書の内容は浮気をした側が自分の意思に基づいて作成した、という体になります。
ですから、署名はもちろん、なるべく念書の全文を作成者の自筆で書いてもらうことが望ましいです。
サンプルとしてこちらで下書きを作っておき、内容に同意してもらったら、それを手本に正式な念書を相手に自筆で書いてもらうようにしましょう。
また、捺印は認印ではなく実印を使ってもらうようにしましょう。
念書の作成は、自分や浮気相手の自宅、ホテルの客室やカラオケ店の客室など、プライベートな空間や環境で行わない方がいいです。
そのような第三者の目の届かない所で相手に念書の作成をさせると、後になって「脅迫されてやむを得ず書いた」などと言い逃れされる可能性があるからです。
人目のあるカフェやファミレスなどで作成し、作成した日付と共にその場所の詳細(住所、店名など)も念書にしっかり記載するようにしましょう。
上記のポイントを守って作成した念書でも、その内容が公序良俗に反したものだとその念書は無効になる可能性が高いです。
例えば、浮気した配偶者と浮気相手が職場の同僚だった場合で、ふたりの接触を断つために浮気相手に「半年以内に今の会社をやめます」というような約束の念書を作らせたとしても、後に法的に争うことになったら、それは不当な内容だと判断される可能性が高いでしょう。
約束を破った際の制裁についても、明らかに高額すぎる違約金や、相手の尊厳をおびやかすような内容は無効化されるでしょう。
浮気の念書の保管方法
念書は紛失しないように大切に保管しておきましょう。自宅での保管では心配な場合は、金庫や弁護士へ保管を依頼するなど、対策を講じておきましょう。
浮気の念書の法的拘束力は弱い? それでも作成する必要があるワケ
浮気が発覚した場合は念書を書いてもらっておくことが賢明ですが、浮気の念書に書かれていたことが、即、法的効力に結びつくということではありません。
例えば、念書に「約束を破った場合は即時に離婚請求を受け入れる」という記載があったとしても、実際に夫婦間で離婚の話が出た際、相手が離婚を拒否した場合は、通常通り調停〜審判というふうに、段階を踏んで決着をつけることになります。
念書に記した約束が履行されなかったとしても、即刻法的措置を取れるわけではないのです。
それなら念書なんて作る意味ないじゃないか、と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
念書を作っておくことにはそれなりのメリットがあります。
法的効力は弱い、と書きましたが、きちんと作成された念書は、浮気の事実を証明するもののひとつとして、裁判などでも提出できる有力な証拠になります。
念書だけでは、浮気の証拠・慰謝料請求に充分な証拠とは言えませんが、その他の証拠などと合わせると充分使える証拠になる可能性が高いのです。
念書を取られた相手は、次浮気するとどうなるか、というリスクを意識するようになります。
そうすることで、浮気を気軽に行うことが少なくなります。
念書作成は弁護士や行政書士に協力をあおぐこともできる
念書は正しい書式で作成しなければ、万が一後に裁判になったときなどに機能しません。
ですが、格式ばった形で配偶者や浮気相手に念書を書かせるというのは荷が重いと感じるかもしれません。
また、配偶者や浮気相手が拒むようなケースもあるでしょう。
そんなときは、弁護士や行政書士など第三者を間に立てて作成する、という手もあります。
念書は、夫婦関係の修復や今後の保険として、とても大切なものです。
自分1人で念書を取ることが難しいと感じるときは、遠慮なく専門家に相談してみましょう。