念書と公正証書には、どんな違いがありますか?
書面に残す点では、同じですが、法的な拘束力が違います。
「念書と公正証書の違い」
離婚をする場合は「慰謝料・親権・養育費・面会交流・財産分与など」
そのとき話し合った内容を書面に残しておかなければ後々トラブルになることがあります。
書面に残すにも念書や公正証書など色々な方法がありますが、 それぞれどのような違いがあるか知らない人も多いのではないでしょうか?
念書と公正証書はどう違う?
最大の違いは「公正証書は法的に強い強制力がある」という点です。
養育費の支払いが滞った場合、公正証書があれば相手の給与や 預貯金の差し押さえが出来ますが、念書ではできません。
すなわち慰謝料や養育費など金銭に関わる取り決めは 公正証書に残しておくことをおすすめします。
何故なら、念書や公正証書は離婚問題以外でも遺言や金銭トラブルの際に、 使用されます。今回は、離婚問題について焦点を当ててご紹介します。
念書
どんなもの?
念書とは、契約書の一種であり、取り交わされた約束や、約束が破られた場合の対処、処分等についての内容を書面に明記し、一方の当事者が相手に対して差し出すものです。
作成費用は?
自分で念書の書式をネットでダウンロードすれば費用はかかりません。念書は自分で内容を考えて作成することが出来るので費用はかかりませんが、 わからなければ弁護士・司法書士などの法律家に相談して作成しています。
不動産譲渡など金銭に関わる記載があれば、その金銭の種類や金額に応じた収入印紙を貼る必要がでてきます。
ルール
まず、以下7つの基本的な事項を明記しましょう。
- 約束する人の氏名(差し出す側の氏名)
- 約束される人の氏名
- 具体的な約束内容
- 約束を行う日付
- 対象となる場所
- 念書作成日
- 署名と捺印(差し出す側のみ)
但し、前述したように、収入印紙が必要になる場合もあります。
例えば、対象となる場所が「お金」の場合、経済取引に関する内容になるので、印紙税が課される可能性があるのです。
参考:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
念書は、当事者間の合意事項を明記した文書ではなく、一方的に差し出されるものです。よって、法的にはそれほど強制力はなく、権利義務を発生させるものではありません。
しかし裁判になった場合は重要な証拠の1つとなりますので大切に保管しておきましょう。
公正証書
どんなもの?
法務大臣から任命された公証人が書類作成を行い、 法的に高い証明力が認められる証書です。
公証人は裁判官・検察官・弁護士の資格ある者・一定の試験に 合格した者の中から任命されて法務局に所属しています。
作成費用は?
公正証書を作成するには、政令に定める「公証人手数料」を納める必要があります。
費用は5,000円〜となっており、取り決めを行なう養育費、慰謝料、財産分与などの合計金額が、対象価格が1億円を超えた場合は、さらに費用が高くなります。
例えば、以下のようになります。
離婚契約 | 養育費の支払いのみの契約であれば3万円程度 |
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例えば、離婚契約の場合、養育費の支払いのみの契約は、3万円程度が相場になります。
内容は自分で考えても良いですが、弁護士や司法書士に原案作成を依頼した場合は相談・原案作成として別途金額が発生します。
ルール
公正役場に取り交わす書類と一緒に足を運び、公証人に作成してもらう必要があります。作成された公正証書の内容を確認して、お互いに署名・押印をします。
念書と違い、お互いの本人確認を行って 印鑑証明や戸籍謄本など必要な書類も増えるので念書より作成に時間がかかります。
念書と公正証書はどちらも書面に残しておくものですが、その法的拘束力は全く違います。
金銭問題は後々のトラブルとなることが多く、急に養育費の支払いが
滞うることもめずらしくありません。
何かあった際に、すぐ対処ができるようにしておくためにも離婚時に話し合った内容をもとに公正証書を作成しておくことをお勧めします。
最後に
今回は、念書と公正証書の違いについて説明しました。
一見似ている2つですが、費用や手続きの方法、さらには法的な拘束力まで異なります。
取り決めた内容の食い違いを防ぐにはどちらも有効的ですが、 状況に応じて、しっかり使い分けることが大切です。
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