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養育費の支払いを渋る夫から、養育費を払わせる方法はありますか?

夫に養育費を払わせることは可能です。ただし、養育費をきちんと払わせるには事前の準備が必要です。

支払いを渋る夫に「養育費を支払わせる方法」とは?



夫から「今月苦しいから支払えない」「減額してほしい」と養育費の支払いを渋られていませんか?

今回は、そういった事態を解決するために、養育費を支払わせる方法について解説していきます。

養育費を支払わない、ってアリなの?



そもそもですが、養育費を支払わない、というのは可能なのでしょうか?

養育費とは、その名の通り、子供の養育に費やされる費用のことです。

具体的には、「子供の健康を維持するために必要な医療費・衣服や食事の費用・成人するまでの教育費・必要な諸経費」などが養育費になります。

そしてこの養育費は、離婚した直後から成人するまでの間に支払う義務のあるものなのです。

ですから、「離婚したからもう関係ない。養育費は支払わない」という理屈は通常通用しません。

きちんと出るところに出たら支払わせることができるお金なのです。
ちなみに、養育費は支払う側の収入や働き方によって大きく異なってきます。

衣食住などに関しては、基本的には、離婚していなかった場合にその子供が受けることができたと考えられる生活水準、を基準に相場が決められています。

つまり、収入が多いほど養育費は高額になるということです。
具体的に養育費の相場がいくらなのかを知りたい方は、裁判所のホームページで公開されている養育費・婚姻費用算定書を確認してみてください。

ここで、算定書より一例をご紹介しますと、養育費を支払う元夫が年収450万円のサラリーマンで、受け取る側の女性がパート勤務・年収100万円程度で、5歳の子供がひとりいる場合、月々の養育費は5万円前後になるようです。

日本人の平均的な給与である500万円前後を支払う側が得ている場合は、通常は月々3万円〜10万円前後は養育費として支払われている必要があります。

夫から「養育費は払わない」と言われたら?



養育費を支払う義務があるにも関わらず、夫から「養育費は支払わない」と言われたら、まずは夫に連絡をとり、「支払う義務があるので支払ってください」と伝えましょう。

すでに離婚していて、数ヶ月養育費の支払いが滞っている、というケースの場合、「養育費が支払われていないので、○日までに○円支払ってください」と具体的な期日と金額を伝えましょう。

きちんと伝えたにも関わらず、無視されたり拒否されたりした場合には、内容証明を送付しましょう。

内容証明郵便を送付する

内容証明、と聞くと送付したことがない方は難しそう、と思われる方も多いかもしれません。

ですが、内容証明とは、日本郵便が「いつ。誰に。どんな内容の郵便をおくったのか」証明してくれる郵便のことであり、誰でも気軽に送付することが可能です。

内容証明の送付には千円程度しかかかりませんから、まずはご自身で内容証明を送付してみましょう。

自分では送り方がわからない、もっと夫にプレッシャーをかけたい、という場合は、弁護士に依頼して、弁護士名義で内容証明を送付する、という手もあります。

内容証明が届いたことにより、あわてて振り込んでくれたら良いのですが、それでも支払いを拒否されるケースもあります。そういった場合は、裁判所で手続きを行う必要が出てきます。

勧告や命令の申出を行う

養育費の支払いについて、調停または審判などでの取決めなどがある場合には、裁判所から履行勧告を出してもらうことが可能です。

履行勧告というのは、裁判や調停などで決定したことに違反した相手に対し、きちんと約束を守るように裁判所から通知する制度です。

もし、それでも履行勧告に応じない場合には、履行命令を出すことができます。

裁判所から履行命令が出されると、正当な理由もなく履行命令に従わなかった場合に、10万円以下の過料を請求することが可能になるのです。

但し、履行勧告や履行命令には、いずれも強制力はありません。

よって、それでも従ってもらえない場合も考えられます。
その場合、どうすればいいのでしょうか。


夫が養育費を支払ってくれない場合は?


夫が一度決まった養育費の支払いを拒否し続け、内容証明や履行勧告・履行命令までも無視した場合には、強制執行を行いましょう。

強制執行を裁判所に申し立てることで、強制的に養育費を回収することが可能です。

一方、「そもそも夫には貯金がないから養育費を支払ってもらうことは不可能だ」と考えている方もいらっしゃるかと思います。

しかし、そこで諦める必要はありません。


なぜなら、強制執行では給与などを差し押さえることもできるので、養育費をとりっぱぐれる心配がないのです。

夫から「養育費を減額してほしい」と言われたら?



夫から、「支払わないとは言っていない。ただ、生活が苦しいから減額してほしい」と一度決定した養育費の減額を求められた場合には、再び話し合いが必要になります。

夫の経済状況がどう変わったのか、など給与明細などを提示してもらい話し合いましょう。

二人の間で合意に至らない場合には、弁護士などの法律の専門家を交えて話し合う必要があります。

場合によっては調停や裁判などを起こす必要があるケースもあります。

しかし、養育費を受給できていない世帯の割合が多いのが現状です。

厚生労働省の統計によると、母子世帯の母親が「養育費を受けたことがない」と答えたのは半分以上で、 父子世帯の父親が「養育費を受けたことがない」と答えたのは、なんと8割以上であることが分かっています。


参考平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果(※平成28年の統計より)

統計から見ると養育費が支払われない方がまるで一般的であると錯覚してしまいますが、決してそうではありません。

未熟な子供に対して生活保持義務があるため、養育費は必ず支払われなくてはならないのです。
これは、たとえ生活に余力がなくても、なくなるものではありません。


養育費をきちんと払ってもらうために

今回は、養育費の支払いを渋る夫にきちんと養育費を支払わせる方法について解説してきました。

大切なことは、「養育費を受け取ることは、子供にとって正当な権利である」と認識し、諦めずに支払いを求めることです。

また、養育費について取り決めた合意内容は、公正証書として残しておくといいでしょう。
後々のトラブルを防ぐのに有効ですし、裁判手続きを行わなくても強制執行が可能になります。

参考離婚後に後悔しないためには、離婚協議書にどんな内容をまとめておくべきですか?
子供のために、きちんと適切な養育費を受け取りましょう。

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