別居した場合、児童手当は夫婦どちらに振り込れますか?
別居中の児童手当はどうなるの?別居で必要な手当の手続き
夫婦が別居することになり、子供は妻と一緒に暮らすことになったが、現状では児童手当の受給者は夫になっている。
このような場合には、所定の手続きを行うことで、児童手当の受給者を夫から妻に変更することができます。
今回は、別居中にきちんと児童手当を受け取るために必要な手続きについて解説していきます。
児童手当とは?
児童手当とは、子供の養育のために自治体から給付される手当金です。
支給の対象となるのは、中学校卒業年齢(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)までの子供を養育している人です。
子供の年齢や受給者の所得額によって支給額は異なりますが、子供1人あたり月額 5,000円〜15,000円 が、年3回に分けて支給されます。
子供の父母である夫婦のどちらかが受給者となる場合、原則として、生計を維持する程度の高い方、つまり所得の高い方が受給者となります。
そのため、多くのご家庭では、夫が児童手当の受給者になっているかと思います。
さて、この児童手当、同居し生活を共にしている夫婦の場合は、どちらの名義の口座に振り込まれるかはあまり重要なことではないでしょう。
ですが、離婚・別居となると話は少し変わってきます。
児童手当制度には、「父母が離婚協議中などにより別居している場合は、児童と同居している方に優先的に支給する」 というルールがあります。
つまり、子供の父母が別居している場合には、父母の所得の差に関わりなく、実質的に子供を育てている方が受給者となるのです。
元々夫が受給者となっており、別居に際して夫が子供を引き取る場合は、児童手当は引き続き夫の口座に振り込まれることになるので、とくに手続きは必要ではありません。
ですが、現状では夫が受給者となっており、別居に際して妻が子供を引き取る場合は、手続きを行い、児童手当の受給者と振込先を変更する必要が出てきます。
別居中の児童手当 受給者を妻に変更する方法とは?
離婚に向けての別居など、何らかの事情があって夫婦が別居する場合、児童手当は子供と同居する方が受け取るべきものとなります。
ここでは、受給者を夫から妻へ変更する場合を想定して解説します。
児童手当の受給者を夫から妻に変更するための手続きには、2つのパターンがあります。
■パターン1 現行の支給を停止して新規の申請をする
手順
@夫が「児童手当・特例給付受給事由消滅届」を役所に提出する↓
A妻が「児童手当・特例給付認定請求書」を役所に提出する
@の「児童手当・特例給付受給事由消滅届」は、現在児童手当を受給している人が、事情により子供の面倒を見る立場ではなくなったため、児童手当の支給を止めてください、と届け出る意味の書類です。
まず、現在受給者となっている夫への児童手当の支給を止める手続きをしたうえで、妻がAの「児童手当・特例給付認定請求書」を提出し、新たに児童手当の申請手続きを行う、という形になります。
※各書類の提出先は、夫・妻それぞれが住民票を置いている市区町村の役所になります。
また、上記の書類以外に、身分証明書類や振込先情報のわかるものなど、必要なものがありますので、詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。
■パターン2 現行の支給の受給者を変更する
具体的に離婚協議を進めている中での別居の場合は、 妻が「児童手当等の受給資格に係る申立書」または「同居優先受給に関する申立書」を役所に提出することで、児童手当の受給者を夫から妻に変更できます。
これは、現在支給されている児童手当について、受給資格が夫から妻に移ったことを主張するための書類です。
この方法で児童手当の受給者を変更するためには、夫と妻が住民票上も正式に別世帯となっており、且つ妻と子供が同居していることが必要条件となります。
ですので、夫と別居しているけれどまだ住民票の住所を変更していないという場合は、まず住民票の住所を変更する必要があります。
また、この手続を行う際には、離婚協議中であることを証明するために、次のいずれかの書類の提出を求められる場合があります。
- 協議離婚申し入れに係る内容証明郵便の謄本
- 調停期日呼び出し状の写し
- 家庭裁判所による係属証明書
- 調停不成立証明書の写し
- その他、弁護士等により作成された書類
など
※その他続きに必要な書類など、詳細な情報は、必ずお住まいの自治体にご確認ください。
別居中に児童手当の受給者を変更しなかった、あるいは、別居を経ずに離婚したという場合の、受給者変更の手続きについても確認しておきましょう。
離婚後に児童手当の受給者を父親(元夫)から母親(元妻)に変更するには、前項でご紹介した〈パターン1 現行の支給を停止して新規の申請をする〉と同じ手続きを行います。
父親(元夫)への児童手当の支給を停止し、母親(元妻)が新規で児童手当の申請をするという流れです。
もし、元夫が必要な手続きを行ってくれないなどの事情がある場合は、申請先の自治体窓口に相談しましょう。
児童手当 受給者変更の手続きはお早めに!
別居中に受給者の変更手続きを行う場合も、離婚後に受給者の変更手続きを行う場合も、手続きはなるべく早い段階で行った方がいいです。
なぜなら、児童手当の支給は毎月ではなく、4ヶ月分ずつを年3回に分けて振り込まれるからです。
具体的な支給時期は次のとおりです。
- (10月・11月・12月・1月)の4ヶ月分 … 2月に支給される
- (2月・3月・4月・5月)の4ヶ月分 … 6月に支給される
- (6月・7月・8月・9月)の4ヶ月分 … 10月に支給される
受給者変更の手続きをすると、次回の支給分から変更後の受給者に児童手当が振り込まれます。
つまり、手続きを後回しにしていると、4ヶ月分、8ヶ月分、12ヶ月分…と、直接受け取れない手当の金額が膨らんでいくことになるのです。
もちろん、その分の児童手当は夫(元夫)から送金してもらえば問題ないのですが、場合によっては夫(元夫)がスムーズに対応してくれないこともあり、そうなると、受け取れるはずの児童手当を受け取れないということにもなりかねません。
受給資格を持つ側がスムーズに児童手当を受け取れるように、変更の手続きは迅速に行いましょう。
そのほかに、児童手当の受給者変更について、わからない事や不安な事があれば、自治体の窓口に相談しましょう。
状況に応じた適切な対処をしてくれるはずです。