念書さえあれば養育費は払って貰えますか?
念書があっても必ず養育費が払って貰えるわけではありません。養育費を払って貰うには工夫が必要です。
念書があれば養育費は払って貰える?離婚問題の勘違い
「念書をちゃんと書いてもらったから、これで養育費をとりっぱぐれることはなくなるはず」と思っていませんか?今回はよくある念書に関する勘違いをご紹介していきます。
念書とは?
念書とは、なんらかの約束を明記して差し入れる書面のことで、通常は書面を差し入れる側の署名と捺印しかありません。
契約書の場合は、契約を結ぶ双方の署名・捺印を記入します。そこが契約書と念書の大きな違いになります。
念書とは、一人の人が、もう一方の相手に対して一方的に義務を負担したり約束したりする書面のことです。
念書があるのに養育費を払って貰えないことがある?
念書でよくある勘違いは、「念書には法的拘束力がある」というものです。
これは間違いで、実際には、法的拘束力も強制執行力もありません。
そのため、念書で、養育費の支払い期日や金額を明記していたとしても、養育費を支払ってもらえない可能性もあるのです。
では、念書を書いておく意味がまったくないのか、というとそうではありません。
念書に記載されている約束が破られ、養育費の支払いが滞った場合、裁判を起こすことになります。
その場合、「月○万円の養育費の支払いをするといっていた」証拠として、念書を提出することができるのです。
この念書がなければ、「養育費を支払う約束はしていない」と突っぱねられる可能性もあるので、裁判を有利に進めるためにも、念書は作成しておいた方がいいと言えるでしょう。
念書に法的な拘束力はない。確実に、養育費を払ってもらうには?
しかし、せっかく念書を書いてもらっているのに、養育費が支払われず、
裁判を起こすことになってしまうのは残念ですよね。
裁判には時間も費用もかかりますので、お互いに消耗するだけです。
裁判沙汰を避けたいなら、念書を作成したあと、それを公正証書にしておくことが望ましいと言えるでしょう。
念書に記載しておくことが望ましいもの
念書には養育費の金額と支払い方法以外にも離婚にまつわることがらを書いておくことで、トラブルを防ぐことにつながります。
具体的には、「離婚を合意すること・財産分与の詳しい配分・親権の所在・慰謝料は発生するか否か・子供との面会交流権について・年金分割について」などを記載しておきましょう。
念書に法的効力をもたせるために、公正証書を作成する方法
念書に法的効力をもたせるためには、公正証書を作成する必要があります。
公正証書とは、公証人が合意した内容を聞き取り、書面化したもののことです。
公正証書にしておくことで高い証明力を持つことができるようになります。
公正証書があれば、仮に養育費の支払いが滞るようなことがあったとしても、裁判を起こす必要はなく、すぐに強制執行手続きをとることができるようになるのです。
強制執行手続きというのは、裁判所に連絡し、強制的に給料や財産などを差し押さえることを言います。
また、取り決めた子供の面会交流権に違反し、勝手に会っていた場合などにも、接触禁止を命じることも可能です。
さて、実際の公正証書作成ですが、申し出てから2週間程度かかることが多いので、できるだけ早く申し出ましょう。
公正役場(平日9時〜5時)に念書を持って夫婦のどちらかが出かけて行き、公証人と面談を行います。
このとき、夫婦の戸籍謄本・身分証明書・念書を忘れずに持参しましょう。
公証人は聞き取りを行なった内容をもとに公正証書を作成します。
この公正証書案を夫婦で確認し、問題なければ完了となります。
確認する日には印鑑の持参を忘れないようにしましょう。
公正証書を作成する費用ですが、関わってくる金額によって違ってきます。
一例を挙げると500万円以上1000万以下で1万7千円。
3000万以上5000万以下で2万9千円。
10億を超える場合には25万円になります。
養育費・慰謝料が発生する場合には公正証書の作成はマスト
今回は、確実に養育費を支払ってもらうための念書作成・公正証書作成の方法について解説してきました。「念書は契約書と同じことなのだから、念書さえ書いてもらっていれば養育費は支払い続けてもらえるだろう」
「信頼関係があるから、書面に残しておかなくても養育費の心配は問題ない」
と考えるのは早計です。
人の気持ちや経済状態は変わりますから、口約束だけ、念書だけでは、あとから争いになってしまうことも懸念されます。
公正証書さえ作っておけば、支払いが滞った場合でも速やかに養育費を回収することができるのでストレスもかかりません。
離婚をする場合で、養育費や慰謝料が発生する場合には、必ず公正証書を作成してください。
離婚を後悔しないために、焦って別れてしまうのではなく、お金のことはきちんと計算してから別れるのが良いでしょう。
財産分与・慰謝料・養育費などについてはしっかりと話し合い、書面に残し、公正証書を作成しましょう。
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